私の男 桜庭一樹著

b0005182_1054337.jpg 自分で、読む小説を選んだのは久しぶり。いつもは夫の読んでいる本(警察小説やミステリーが多い)を暇つぶしに読む程度だから…。
 
 時間軸を遡っていくストーリーと、各章ごとに語り手が変わる展開に、どんどん興味をひかれ読み進んでいく。この手法は、映画にもなった「告白」と似ている。同じ事件を、様々な関係者の目線で書き綴り、当事者しか知りえない真実や思惑が次々と明かされ、その上ミステリータッチなのだから、これはなかなか紙面から目を離せない。しかもTVドラマ化は無理だろう…と思ってしまうところは「告白」も同じ。「告白」が映画化されると知って本当にびっくりしたけれど、この本も映画化ならできるかもしれない。R指定はどうだろう…。

 地震で家族を亡くし、一人だけ生き残った花。花の目の前で、一つに寄り添った家族が、大波にのまれたとき、花は思う。本当の家族だけで、海の向こうに行ってしまった…と。孤独な花の気持ちを思うとたまらない。罪のない子供に、ここは自分の居場所ではないと感じさせてはいけないよ。花の養父、淳悟も罪深いと思うけれど、花の母親のほうがもっとひどい。子供は愛されて育てられなければいけない。

 何故なんだろう。あまり現実感がないのは。全体を通して北の暗い海のイメージが覆いかぶさり、ベールを通してみているような非現実感。お話の世界にどっぷりはまり込んで、それが妙に心地よかったりもするけれど、リアルに考えたら児童虐待だよ。父娘だからいけないというよりも、判断力も経済力もない子供にしてはいけないことだよね。お互いに自立した者同士なら、自己責任だけど。

 花と女優の仲里依紗ちゃんとを重ねて読んでいた。
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by akazukin_3 | 2010-08-06 11:50 | 読書日記